記憶法① 暗唱

 年少さんからの取り組みとして、テキストを使った暗唱があります。暗唱の仕方は毎日の音読です。脳が暗唱に慣れてくると、最初は覚えるのに1カ月かかっていても、3週間になり、1週間になり・・・と、だんだん楽に暗唱できるようになってきます。暗唱の目的はこれです。覚えるのに10回くりかえさなければならないのと、1回で覚えられるのとでは格段の差があります。

 四字熟語や、ことわざの意味がわからいまま覚えても意味がないのではないかと思われる方もいらっしゃるでしょうが、テキストの内容でなくても暗唱する材料は、俳句でも外国語でも、お経でも何でも良いのです。意味は子どもが聞いてくれば答えてあげればいいですが、意味を説明する必要はありません。暗唱をすることで脳がパターンを認識し、記憶回路を開きます。鍛えれば鍛えるほどどんどん良くなります。

 覚えたことを教室で発表することによって「思い出す力」も強化しています。毎月毎月、新たなことを暗唱することによって、どんなものでも覚えやすくなります。お母さんからのピアノを習っているんだけど、何回か弾いただけで楽譜を覚えてしまいます。だとか、ダンスの覚えが早いだとか嬉しい報告もこの記憶回路のなせる業です。年齢が小さければ小さいほど楽にできるようになります。

 ノーベル賞の湯川秀樹と3人の兄弟は、それぞれ5、6歳から四書五経の素読をさせられました。そして、全員が学者になりました。 そのときの勉強法は、論語を漢字のまま意味もわからないまま音読し暗唱するという方法でした。湯川秀樹は後年、読めないし意味も分からない文章を読むのは苦痛だったが、素読は役に立ったと述べています。