中学受験はゴールではない②

 Aちゃんは最終的に志望校のランクを下げて合格した中学へ入学することができた。これでめでたしではなかった。やっと受験から解放されたAちゃんが中学生になって気持ちが学習に向かうはずもなく、学習からはどんどん遠ざかっていった。中学生になったAちゃんにはもうお母さんの小言なんて怖くもなんともない。溝は深まるばかりだった。そしてついには中学校から「成績が酷いので高校への進学は諦めてください。」と言われてしまった。さらに自暴自棄になったAちゃんは、お母さんが作ったご飯には手を付けず、毎日1.5Lのコカ・コーラとカップ麺を食べるようになったそうだ。お母さんはAちゃんが小さいときから食べるものにとても気を配っていた。添加物や市販のお菓子なんてとんでもない。いつも手作りの身体にいいものを作っていた。コーラとカップ麺に受けたショックは相当だっただろう。Aちゃんも中学校生活でまともに勉強していないまま高校受験をすることになり、大変なストレスだったことだろう。

 春から入学する高校が決まったとの知らせをお母さんからいただいたが、そこに喜びはなく、「どうすべきだったのか後悔するばかりで答えがみつかりません。」との言葉に苦しくなった。子育てに一生懸命で、Aちゃんが大好きなあまり、Aちゃんがお母さんの全てになってしまった。食べ物、睡眠時間、学習、日常生活など全てにおいて、一生懸命になりすぎたお母さんによって、Aちゃんは苦しくがんじがらめに感じてしまったのだろう。Aちゃんのお母さんに限らず、中学受験は親が子どもをコントロールしようとしてしまう傾向が強い。でも、子どもをコントロールなんてしてはいけない。ただ、励まし、寄り添ってほしい。お母さんにお願いしたいのは、健康管理と送り迎え、そして何より一番大切な心のケアだ。

 中学受験がゴールではない。もちろん高校受験も大学受験も就職試験もゴールではない。人生の目標を受験や就職においてはいけない。Aちゃんの人生はまだまだ続く。どうかこれからは母子の修復に全力をかけてほしい。と返信した。

 目標は子どもが幸せだと感じること。子どもが自分で生きていく力をつけ、生まれてきてよかったと思うこと。そのための学習であってほしい。

 Aちゃんとお母さんの関係も今がゴールではない。親子である限りいつでも修復できる。Aちゃんの幸せを第一に考えているお母さんの想いはいつか届く。Aちゃんとお母さん二人の幸せを心から願う。