銅の排出

 前回、子どもの問題行動へのアプローチとして、体内に蓄積された有害金属を排出し、必要な栄養を摂るという話をしました。現在の身体の状態を知る方法として毛髪検査をご紹介しました。その後、検査を受けられた2名から銅が高値との結果が出ました。銅は食品や飲料水から摂取されますが、通常の生活においては健康への影響は小さいと考えられています。

 しかし、銅が体内で多くなるとイライラがおきやすくなります。銅はエストロゲンという女性ホルモンと関係が深く、(卵巣のない男性でも、女性ホルモンはあります。精巣から分泌される男性ホルモンの一部がエストロゲンに変わります。)エストロゲンは血管や骨などを健康な状態に保ち、コラーゲンの生成を促進することから「美人ホルモン」などと呼ばれますが、多すぎる場合、情緒不安定、眠気、だるさ、肩こり、腰痛、肌荒れなどが起こりやすくなります。女性の生理前に多く分泌されるホルモンなので、その時の状態というとイメージしやすいと思います。

 多くなった銅を減らしバランスをとってくれるミネラルが亜鉛です。亜鉛不足によってエストロゲン過剰から銅も増えてしまっている方が多く、体内で銅と亜鉛のバランスが崩れると、いわゆるキレやすい、落ち込みやすいなど気分の浮き沈みなどが強くなると考えられています。

 亜鉛と銅は血液中でどちらかが多いともう一方の吸収を阻害してしまいます。亜鉛を摂りすぎると銅不足に、銅を摂りすぎると亜鉛不足になってしまうのです。そのため、摂取の際にはバランスが大切です。

 亜鉛は日本人に不足しやすいミネラルのひとつです。カニ、牛肉、納豆、牡蠣、豚レバーの食べ物に多く含まれています。消化吸収能力は人によって異なるので、同じ量を摂っていても身体にとどまる量は一人一人違います。また、一緒に摂る食品によって吸収が阻害される場合もあります。偏った食事が多い方や加工食品を多く食べる方、特に、コンビニやファストフードでの食事が多い方は、不足しやすいので、サプリメントでの補給がおすすめです。

 経口摂取された銅は、消化管で吸収され、血清中の輸送タンパクと結合して肝臓に必要量が貯蔵されます。過剰の銅は、大部分が再吸収されない形態となって胆汁へ流出し便中へ排泄され、また一部は腎臓を介して尿中に排泄されるといわれています。食物繊維や水分を多く摂ることで、排出を促すのも必要です。

 まずは亜鉛と、ビタミンCを多く採ることをお勧めいたします。