積み上げよう 余談

 積み上げよう③で「ラッシュアワー」の取り組みについて書きました。手を動かして考えることが目的で、楽しい教具を使いながら、やがては紙の難しい問題に取り組むときに、手を動かして、(考えたことを線分図や、図などを使って書きながら)粘り強く考えるための練習をしています。

 もっとはっきり言えば、教具でさえ夢中になれないのに、紙面上で頭をフル回転して問題に取り組むなんてできるのだろうかと思っています。初めは夢中になれなくても、試行錯誤しながらできると嬉しくて、この積み重ねでどんどん夢中になっていきます。1分も考えられなかったのに、5分、10分と粘れるようになった子たちをたくさん知っています。だからお母さんは焦らず、口を出さず、つき合ってあげてくださいと書きました。

 ある子が、「この本物のはやりたくない。家でゲームで練習していてそれならできる。」と言いました。ゲームだからダメとは言いません。場所も取らず、いつでもできて、確かにメリットはあります。ゲームでも、教具を使った時と同じようにじっくり考えて試行錯誤できていれば伸びていきます。でも、果たして幼い子どもにそれが可能なのでしょうか?「ゲーム=手軽」であって、失敗したらリセットしてもう一回というふうに深く考えずに楽しんでいるだけではないのでしょうか?

 それなら、やはり達成感や、喜び、ドーパミンの効果は期待できません。それが、「この本物はやりたくない。」の言葉に表れているように思うのです。

 試行錯誤とは面倒くさく時間がかかるものなのです。種をまいてもすぐに芽がでないのと同じです。でも土の中で発芽の準備は進んでいるのです。「お手軽」を求めず、本物の力をつけていくには失敗も悔しさも時間も必要なんだと思います。

 試行錯誤をして、悔しい思いもいっぱいした子は、突然すいすいできるようになっていきます。今年も何人かそういう子たちがでてきました。 必要な時間はそれぞれ子どもによって違いますが、どの子もみんな発芽の準備はできています。芽が出るのを楽しみに待ちましょう。

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