思考力検定

 毎年、11月に思考力検定を実施しています。今年も年長さんから中学2年生までがチャレンジし、合格証書を手にしました。

 思考力検定とは、計算力・文章読解力・イメージ力・空間認識力・全体把握力・検証力・分析力といった思考力を問う検定です。

 まさに、「物事を考える力」です。観察や記憶によって頭の中に蓄えられた内容を関係づけ、新しい関係を作り出す働きで、脳の司令塔となる重要な要素です。思考力はもちろん、算数の問題を解くためだけに必要なものではありません。効率よく物事を進めたり、問題を解決する糸口を探ったり、生涯あらゆる場面で必要な力です。

 思考力はすぐに身に付くものではありません。物事を解決に導くために様々な角度から検討し、最適な方法を選びだすということが思考力です。身に付けるためには、日々、物事を深くじっくり考えることが大切です。どの年齢の子も、一年を通し、自分の力で考える力を養います。思考力検定はその目安の一つとして取り組んでいます。

 検定問題を解いている子どもを見ることによって、その子の問題点が見えてきます。それこそが検定問題を解く目的です。高得点で合格できそうな子が、今までの成果のご褒美として受検し、賞をとってほしいと思います。あくまで、「賞=ごほうび」なのです。合格するために、家で問題を何度も解きなおし、解き方を覚えるというのは本末転倒です。

 文章を理解する力が足りない。知らない語句を文脈から想像する力が足りない。計算力が足りない。粘り強さが足りない。など、問題点を個々に伝えています。どうか目先のこと(検定に合格すること)にとらわれず、長い目で、思考力の育成に関わってほしいです。

 解き方を教えて、覚えて解くというのはパターン化してあてはめるということで思考力の育成とは真逆になります。思考力を身に付けることをあきらめ、目先の点数を追いかけなければならないというのはもっともっと先でいいのではないでしょうか。中学生、高校生になり、どうも勉強についていけないとなると、ノートをみて教わった通りに解き、練習問題を繰り返すという方法しかないのです。今はまだまだ思考力を伸ばすチャンスがあるのにこの方法をとろうとするのはもったいないことです。思考力を伸ばすのには時間がかかります。本物の力を身に付けましょう。