ボストンから帰ってきたSちゃん

 先日、以前教室に通われていたSちゃんが会いに来てくれました。

 Sちゃんとの出会いは10年前、Sちゃんが4歳の頃でした。「初めて会ったとき、私の言ったことが何も通じなくて、“帰国子女ですか?“ってお母さんに聞いたよね」と言う私に、「あの時は違ったけど、10年経ってその通りになりました。」と笑うSちゃん。

 Sちゃんが小学3年生の時に、家族5人でお父さんの仕事の都合でボストンに移住することになり、その後、帰国し今は東京に住んでいます。会いに行きますと連絡をいただき、コロナ禍で伸び伸びになっていたのがようやく叶い嬉しい時間になりました。

 すっかりお姉さんになったSちゃんに驚きと感動でいっぱいでした。「パパは大学に行って、家に帰ってから夜中まで勉強して、すごく大変そうで、すごくかっこよかったから、私も英語を使って海外で働く仕事がしたい。」「ボストンも四季があって、雪も紅葉も楽しめるけど、桜はないんだ。」「アメリカはみんな元気でハッピーな感じで、日本人はシャイだと思う。」「日本の英語の教科書に載ってる表現はかしこまりすぎて、もっとフランクな方がいいと思う」などなど、たくさん話してくれました。

 3姉妹とお母さんと4人、(といっても美人ママさんで4姉妹のようなんですが)そうなると、話す中心はお母さんで、子ども達はそれを聞いているというのがよくあるスタイルだと思うのですが、Sちゃんがたくさん話してくれるんです。こんなに自分の考えがあり、しっかりと話せるのは素晴らしいなと思いました。

 次女のMちゃんはアイデアマンで、バターを塗るのにスティックのりの容器にバターを詰めて繰り出して塗る方法を試し、お母さんにヤメテーと叫ばれたこと、スイミングを頑張っているということ、末っ子の3年生Mちゃんは「ボストンのピザは味が濃くて、もうこりごり。日本のご飯が美味しくて太っちゃったんだ。」「将来はシェフになりたい。」「バタフライが得意で前を泳いでる子を抜かしてしまうんだ。」なんていうことも話してくれました。3人とも自分でしっかり話せることに、ボストンでの充実した生活ぶりが感じられ、魅力的な3人に成長していました。

 「3人の娘それぞれに、この子にとって何が、どう言ったら、何をしてあげたら良いのか、日々迷いながら、考えて考えて、それでもやっぱり正解が分からなくて、、その繰り返しです。」とお母さん。大丈夫!3姉妹がそれぞれに自分の軸を持ち、しっかり意見が言える子に育っています。幼い頃から、子どもの自主性を尊重するSちゃんのお母さんの子育てを見てきて、子どもは育てたように育つんだということを改めて実感しました。

 また何年後かにお会いできることを楽しみにしています。 さて、自分の意見を持ち、発言できる。日本人には苦手なことかもしれません。しかし、これからの時代に必要な力です。子どもたちにどのように育んでいくか。わたしの課題でもあります。